2025年07月18日 ▼湖北じんけん講座に参加しました。

日時 7月18日(金)18時半
場所 木之本スティックホール
テーマ 朝野温知(李壽竜)さんの生涯と活動
講師 水野直樹さん(京都大学名誉教授)

朝野温知(あさのよしとも・1906〜1982)さんは、武内了温さんから「温」の一字をもらわれた、同じく真宗大谷派僧侶として解放運動に生涯を尽くされた人です。1946年、木之本町廣瀬に入寺され、そこに廣瀬保育園を開設され、子どもたちと共に念仏の教えの中、反差別の精神に生きられました。

講師の水野直樹さんは、当日のレジメの結びに次のように書かれています。ここに掲載させて頂きます。まさに民族を超えた親鸞聖人の「同朋」の中に、真の平和を唱える朝野温知さんを感じます。

東本願寺派教団が、現在の泥沼的苫悶から抜け出して、同朋教団として再生を願うなかで考える『同朋』とは誰を名指すのかというような奇妙な設問をすべきでなく、われわれの目指す『同朋』とは世界中のすべての人間であって、島国に閉鎖されて生きている皇国臣民的な感覚でしか、親鸞教学が認識されない人々のみをいうのではないことをハッキリしてくれということである。
「同朋教団建設を訴える」『遺稿集(下)』)

朝野は、アイヌ、沖縄人、朝鮮人、台湾人などに対して皇国臣民となることを強要した日本帝国と同じ立場に立って異民族を排除・差別する教団であってはならないと大谷派教団の構成員に対して訴えたのである。そこには、思想遍歴を重ねながらも、朝野が生涯、抱き続けた理想、「民族の違い」を超えて人間としての普遍性を求める思いが込められている。大谷派僧侶となり、日本国籍を取得しながら、朝鮮人であることを放棄しなかった朝野は、仏教のなかに、そして部落解放運動のなかに民族を超えた「人間性の原理」を求め続けたのである。
『朝野温知(李壽龍)ー民族を超えた「人間性の原理」を求めて』水野直樹著

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